きもの学講演!(その1) [ 2011/09/16 ]
9月10日土曜日キャンパスプラザ京都において「きもの学」の講演にいってまいりました!
講演内容は「悉皆について」ということで、普段私の仕事内容について話しました。
その中で「講演内容については後日ホームページでアップします」と約束しましたので、本日から数回にわたって講演内容ををアップしていこうと思います。
さて、今回は第1回目。質問の回答から。
講義の中で「酸ながし」について簡単に説明しましたが、もう少し具体的にという要望がありましたので、まずそのことについてお話しましょう。
「酸ながし」という作業は、とくに染める前工程としては重要な作業で、職人さんとしては蒸屋さんの仕事になります。私たち染めあがっている着物を染め替える場合、持ち込まれる着物にはだいたいカビの黄変だったり、きついシミがついていたりします。その場合、上から掛ける色にもよりますが、事前にシミ抜きをする場合があります。このシミ抜きの作業ですが、シミを抜くのに強アルカリの薬品を使用してシミを抜きます。そのままだとアルカリが残留するため、酢酸等で中和させるのです。その後シミ抜き屋さんで水洗いをするのですが、多少酸が残るんですね。で、この酸が残っていると新たに染めた時に、酸が残っている部分と、そうでない部分に染めムラとして現れてしまうのです。
シミ抜き屋さんでもう少し丁寧に洗えば良い、ってことも言えるのでしょうが机の上で仕事をされているシミ抜き屋さんでは、広い場面を洗う作業には適していません。そこで蒸屋さんの川で弱アルカリの水で洗ってもらい再度中和させて、洗い流してもらうのです。
ややこしい話ですが理解していただけたでしょうか?
事後作業でも酸ながしをしますが、これはどちらかというと酢酸等の酸っぱいにおいを抑える為にするこがあります。着物は基本弱酸性ですので多少酸のにおいが残っていても徐々に抜けていきますが、たまに臭いがきつい場合があります。そこで、納品する前に一度酸ながしをして仕上げをする作業が、後作業としての「酸ながし」ってことになります。
さて、次回からは「悉皆とは」から順番に説明していきたいと思います。
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