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きもの学講演(その2)悉皆とは [ 2011/10/15 ]
今回は「悉皆とは」ということからはじめてみたいと思います。
皆さんは「悉皆」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?私が講演をさせていただいた場でもお聞きしたのですが、約70%の方がご存じではありませんでした。
悉皆とは読んで字のごとく「ことごとく、みな」ということで染めに関わるありとあらゆることを仕事としています。
文献として何かないかと調べてみたところ、江戸時代後期文化8年版染物重宝記に「染物のあつらへ方、取り次ぎ方の心得なれば…」とあり、同書の張物心得帳方の条に「悉皆取次の難儀となることあり」とでている。このころから染物の取次をする人を指して悉皆屋というようになったとされているようです。
また悉皆の語源については通信交通機関が発達していなかった時代に、業者がお得意先まわりをして染物の注文を受けるかたわら、京都で生産されるいろいろの商品、例えば髪飾り、紅、白粉嫁入り道具など悉く皆、顧客の依頼に応じたことから悉皆屋といわれるようになったとも伝えられています。
次回は私たち悉皆屋の中心的仕事の一つである着物の製造について、その工程や仕事の中身や職人さんの工夫などを紹介しながら話を進めていきたいと思います。
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